建設業界はとてもすそ野が広く、多業種が専門分野において分業役割分担でその技を現場で発揮することで良質な建物ができあがっていきます。
竣工後も長期修繕計画でランニングコストと修繕時期を図り、ランニングコストの適正化、効率化を導き、日々のメンテナンス、定期的修繕の実施で維持保全が保たれています。日本の繊細な法律、法規においても建物の維持保全が規定されています。建物の竣工後のほうが、やるべきことが多いほどです。
建材に使用された有害物質は激減し、メーカーの安全データの充実と情報公開によって、居住者の環境は安全に改善されています。一方で石綿含有が想定された時期の建物については厳しいルールが定められました。小規模工事においても、その知識、確認と申請手続きが必要な時代となりました。
施工サイドは安全、品質、工程、コスト、環境、有害物質、騒音振動、稼働中の建物での作業計画、養生計画や美化と管理項目が増加し、現場管理者の負担は増加の一方です。
何事もなかったかのように、工事が進められることが当然であるとの評価です。私は建設業界で従事される方々は、会社は違えども同じ苦労を抱えている仲間であると考えています。

この業界の中で、弊社は既存建物を診断し、施工の内容を伝達する橋渡しの役目を負っていると認識しています。改修工事や維持保全修繕工事は、新築工事の企画、設計とは異なるプロセスが求められていると強く感じます。
調査診断で発見された不具合報告、標準仕様書に沿った施工計画、仕様書に記載された内容だけを計上した見積。それぞれの立場はあるが、つながりがありません。
診断結果から発生状況報告だけでなく、要因、修繕方法の可否、建物の環境を保全しながらの使用機材検討、既存建物履歴から石綿含有の確認に必要な手続きを含め、関係法規をベースに判定してゆく作業が求められていると認識しています。
お施主様の立場に立ち、社会ストックの建築物を維持保全することが使命です。

経験工学といわれた建設業界で、1,500件を超える既存建物維持保全工事（※）に従事した経験を活かし、赤外線診断技術を併せた施工時に役立つ診断をモットーにしております。